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会長からのメッセージ 名古屋大学大学院工学研究科 物質制御工学専攻
野村浩康大瀧仁志先生の後を受けて、平成10年度から溶液化学研究会の会長を務めることになり、その責任の重さをひしひしと感じている。昨年、溶液化学シンポジウムも20回を数え、その記念式典が行われたが、大瀧先生は溶液化学研究会の設立者であり、溶液化学シンポジウムの創始者であり、先生のわが国の溶液化学をここまで引っ張って来られた努カと功績に、いま改めて深く感謝すると共に、これからは成人を迎えた溶液化学研究会をさらに発展させる責務を負っていると認識している。
第20回溶液化学シンボジウム演要旨集(20周年記念)にも書かせていただいたが、溶液化学の分野のみならずわが国の教育・研究システムそのものが大きな転換期にあると思っている。1960年代後半からの液体・溶液論の疾風怒濤の時代から約40年、理論的にも実験的にも大きな転機を迎えつつあると感じているし、21世紀に向けて新しい展望が開けつつあるようにも感ぜられる。
この様なときに研究会=学会の役割も少しづつ変化しつつある。情報メディアの発達は学会での研究発表や論文の学会誌等への掲載が唯一の研究発表の場ではなくなりつつある。いろいろ意味で閉塞感に閉ざされている今日、ブレーク・スルーが種々の分野で求められている。この意味では溶液化学の分野とて同様である。よく言われるようにブレーク・スルーには3つの要因がある。一つは、広い領域で、異なる研究歴を持つ研究者の集団、二つ目に、その研究者の集団に明確なビジョンを与え、自由に発想させ、さらに、第3の要因として、研究者相互に刺強し会う生き生きとした研究の雰囲気を維持することであると言われている。
溶液化学研究会は会それ自身が第一の要因を備えている。溶液化学は液体・溶液論として固有のデシプリンを持っているが同時に高分子化学からイオン溶液、溶融塩まで多様な研究分野に係わっており、それぞれ異なった研究対象・研究者の資質を持っている。したがって、学会・研究会の役割は共通項である、「液体・溶液」についての明確なビジョンを与え、自由な発想を保証し、研究者同士が刺激し合う、瑞々しい研究の雰囲気を作ることであると思う。
1999年には福岡でICSCが予定されている。今年のEMLGのテーマがPhysies of Liguids: Foundations, Highlights, Challengesであることもわれわれと同様な感覚を持っているのではないかと何か共通点を感じる。
微力ではあるが新しい溶液化学研究会が展開できるように中原運営委員長を助けたいと思っている。
【溶液化学研究会ニュースNo.36(May13,1998発行)より転載】
- これまでの会長からのメッセージ
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