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EMLG/JMLG Annual Meeting 2024報告 JMLG Secretary
西山 桂(名城大学理工学部)
- 【概要】
- EMLG-JMLGAnnualMeeting2024 —StructureandDynamicsofHydrogen-bondedSystems— は、2024年9月8日から9月13日までの6日間、トリエステ(イタリア)において開催された。学会運営に関して、ChairはDr. Marco Paolantoni(ペルージャ大学)およびDr. Barbara Rossi(Elettra;トリエステ・シンクロトロン機構)が共同して務めた。学会主会場として、Elettra機構内の講堂が使用された。
- 【開催母体】
- 当学会は、日欧の溶液・液体に関する研究者が集うEMLG(European Molecular Liquids Group;チェア—Ralf Ludwig教授(ロストック大学))、およびJMLG(Japanese Molecular Liquids Group;チェア—椋利幸教授(佐賀大学))が協同して運営する年次大会である。EMLG、JMLGはそれぞれ1981年、1996年に設立された。第一回の年次大会は1982年に開催され、今年で40年以上の歴史を持つ。溶液や液体の構造、物性、機能やダイナミクスに至るまで、幅広いトピックスにわたり議論が展開されるのが特徴である。
- 【今年度の開催内容】
- 今年度は、基調講演7件、招待講演5件、一般口頭講演55件、ポスター発表29件の発表があった。参加人数は105名で、昨年同様の規模である。そのうち日本の研究機関からの参加者は13名であった。9月8日には市内のレストラン「040 Social Food」にてレセプションが開催された。9月10日にElettraの施設見学会が催され、シンクロトロン装置などを見学した。そして9月11日にはハプスブルク家ゆかりの古城(ミラマーレ城)へのエクスカーションを楽しみ、翌9月12日にはヨットハーバーに位置するレストラン(YachtClubAdriaco)にて、ローカルワインを手にしながら懇親会が盛大に開かれた。
- 【基調講演】
- 基調講演は以下の通りである。(プログラム掲載順、敬称略。講演題目は原文のまま収録。以下同様)
- Paul S. Cremer, USA
- Exploring Water Structure at Charged Interfaces
- Dmitry Kurouski, USA
- Raman and Infrared Imaging of Biological Systems at the Nanoscale
- Anna Martinelli, Sweden
- Hydrogen bonding in ionic liquids and derivated materials
- Sylvie Roke, Switzerland
- Aqueous Nanoscale Systems
- Paola D'Angelo, Italy
- The role of hydrogen-bonds in the formation and structural properties of deep eutectic solvents
- Yusuke Morisawa, Japan
- Investigation of Hydrogen Bonding using the Attenuated Total Reflectance Spectroscopy in the Ultraviolet Region
- Ali A Hassanali, Italy
- Chemical Continuum: Overcoming Discrete Notions Underlying Fluctuations in Water
- 【ポスター賞】
- 次の若手研究者3名に授与された。順位なし、ポスター番号順。
- Kodai Kikuchi, Japan
- High-Pressure Effects on Cellulose Dissolution Behavior into Ionic Liquid Analized using Molecular Dynamics Simulation
- Pavlína Mimrová, Czech Republic
- Molecular simulations of alkali metal halide using phase-transferable models: crystalline hydrates
- Lasse Hunger, Germany
- Hydrogen bonding between ions of like charge in carboxyl-functionalized ionic liquids characterized by NMR deuteron quadrupole coupling constants
- 【会議予定】
- 2025年EMLG-JMLG Annual Meeting
- Organizer: Dr. Dezsö Boda
- 会場:Hévíz(ハンガリー)
- 会期:2025年9月1—5日
- https://emlg2025.mk.uni-pannon.hu/
- (詳細は追って学会web等に掲載)
- 2026年EMLG-JMLG Annual Meeting
- Organizer: Dr. Miguel Jorge
- 会場:Glasgow(スコットランド)
- 会期:2026年8月末—9月中旬の間を予定
- 【印象】
- トリエステは市内に空港を有するほか、国際線が数多く就航しているヴェネツィアからも簡単にアクセスできる。講演内容は、単純液体からイオン液体、高分子系、生体系、ソフトマテリアルまで、溶液・液体に関する分野を幅広く網羅していた。研究手法としても、理論、シミュレーション、実験やそれらを組み合わせた方法論の開発も見られた。またEMLG-JMLG学会の特徴として、参加者間の交流が非常に盛んなことも挙げられる。学会の休憩時などに議論が進み、新たな共同研究の着手につながっていく様子も目にした。特に今年度は、施設見学、遠足や懇親会と、参加者間の親睦を深める舞台装置には事欠かない会となった。なお本学会の成果を反映して、J. Mol. Liq.誌の特集号が刊行される。
- トリエステはかつて、オーストリア=ハンガリー帝国の版図に組み入れられていた。そのため市内ではウィーン風の建築を頻繁に目にし、ソーセージやサワークラウト(当地風の呼び名)が食卓に上るレストランもあった。また、学会会場のElettraは国際的な物質科学研究拠点でもある。学会期間中に利用した施設内食堂には、文字どおり世界各国の研究者が昼食を楽しむひとときも見られた。
Elettraの見学者用施設 トリエステ市内中心部・イタリア広場 ミラマーレ城(エクスカーション) トリエステ市内のトラム(工事中) 以上
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