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EMLG/JMLG Annual Meeting 2006報告
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鳥居 肇(静岡大教育)

 2006年のEMLG/JMLG Annual Meetingは,“Liquid Systems under Extreme Conditions” のテーマで,スペイン国バルセロナ市のUniversitat Polytecnica de Catalunya (UPC) にて開催された。会議のチェアパーソンはElvira Guardia教授 (UPC) が務められた。会議は2006年9月3日(日)夕方のレセプションから7日(水)正午過ぎまでであり,約100名が参加した。日本からの参加者は9名(寺嶋正秀,伊吹和泰,木村佳文,鳥居肇,佐藤啓文,六車千鶴,吉田亨次,藤沢知績,横川大輔;以上敬称略)であった。なお,国別の参加者数は,開催国スペイン(20名)を筆頭に,フランス,イタリア,ドイツ(各12名),日本,ハンガリー(各9名)と続く。なお,米国,アルゼンチンから各2名,トルコから1名の参加者もあった。

 会議プログラムは,11件の招待講演(45分)と19件の一般口頭発表(25分),6件の若手口頭発表(15分),および53件のポスター発表で構成された。招待講演の講演者とタイトルは,以下の通りである(講演順)。

Sergei G. Kazarian (Imperial College London), “Supercritical enhanced processing of polymeric materials”
Daniel Laria (Universidad de Buenos Aires), “Protons in supercritical water: A multistate empirical valence bond study”
Juan Colmenero (Universidad del Pais Vasco, Spain), “Dynamic of glass-forming polymers in the α-β region. Molecular dynamics simulations and quasielastic neutron scattering results”
Thierry Tassaing (Universite Bordeaux I), “Hydrogen bonding in liquid and supercritical fluids investigated by vibrational spectroscopy”
Christiane Alba-Simionesco (Universite de Paris-Sud), “Disentangling density and temperature effects in the viscous slowing down of glassforming liquids and polymers”
Pal Jedlovszky (ELTE University, Hungary), “Orientational ordering of the molecules at liquid-liquid and liquid-vapor interfaces”
Geraldine Richmond (University of Oregon, USA), “Molecular adsorption, ion solvation and hydrogen bonding at aqueous surfaces”
Hirofumi Sato (Kyoto University), “Structure and chemical reaction under extreme conditions”
Gerhard H. Findenegg (Technische Universitat Berlin), “Fluids in narrow pores: From simple to complex liquids”
Lourdes F. Vega (Institut de Ciencia de Materials de Barcelona), “Ionic liquids and supercritical fluids as alternative solvents: A molecular modeling approach”
Masahide Terazima (Kyoto University), “Time resolved detection of intermolecular interactions in solution”

このほかに,

Peter Rossky (University of Texas at Austin), “Interfacial solvation by supercritical CO2: Understanding CO2-philic surfactants”

が予定されていたが,キャンセルされた。  

 ポスターセッションは4日の夕方 (16:30-18:30) に行われた。件数が多かったためなのか,部屋や階段の壁面も,ポスターボードの代わりとして利用された。空間が十分ではなかったが,そのぶん熱心な議論があちこちで見られたと思う。  

 6件の若手口頭発表(15分)は,6日の午後に行われた。日本からは,藤沢知績氏(京大)が講演された。この企画は,昨年は行われず,運営会議において次年度の復活が要望されたものであった。  

 このほか,5日夕方には運営会議が,6日夕方には総会が行われた。双方において,JMLG secretaryから,来年度福岡で開催される会議の説明がなされた。  

 若手研究者(大学院生・ポスドク)の優秀なポスター発表に対して,例年と同様にポスター賞が贈られた。今回は以下のように,1位1件と2位2件が選ばれた。受賞者には,賞状のほか,副賞として200 Euro(1位)または150 Euro(2位),および3年間のEMLG/JMLG会費無料の特典が贈呈された。

1位:Ms. Susanne Jahnert, Technische Universitat Berlin, “Pore freezing of water and heavy water in MCM-41 and SBA-15 silica materials”

2位:Mr. Aurelio Olivet, Institut de Ciencia de Materials de Barcelona, “An optimized force field for sulphur hexafluoride simulations”
およびMr. Shuang-Liang Zhao, Ecole Normal Superieure de Lyon, “Fluids adsorbed in random porous media: A new model of templated matrices”

来年以降の会議について

 5日夕方の運営会議と6日夕方の総会において,来年以降の会議の開催地とテーマ等が議論された。

[2007年]

11月22日から25日の会期で,福岡大学において,Molecular approaches to complex liquid systemsをテーマに開催される。この会議は,第30回溶液化学シンポジウムとの併催という形で行われる。チェアマンは山口敏男教授と平田文男教授が務められる。会議の前の11月20日には,横浜市でpre symposium(世話人:横山晴彦教授,菅野等教授,山中弘次教授)が,会議の後の11月26日には,京都市でpost symposium(世話人:寺嶋正秀教授)が予定されている。欧州から出席する若手研究者(学生および若手ポスドク)に対して, EMLGが援助を行うことになっており,援助を受ける3名(667 Euroずつ)は,既に決定されている。

[2008年]

9月1日から5日の会期で,Lisbon (Portugal) において,Fundamental understanding of supercritical fluids at the molecular levelをテーマに開催される。チェアパーソンはM. Isabel Cabaco教授が務められる。

[2009年]

9月上旬(予定)に,Salzburg (Austria) またはその近郊において開催される。チェアマンはMaurizio Musso教授が務められる。

[2010年]

運営会議において,Gabor Palinkas教授から,実験研究の発表を主体としてハンガリーで開催することを検討する旨,発言があった。

その他

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